湯治のすすめ
湯治とは、温泉に入り体を癒す古来からの伝統。温泉地に出向き、自然を感じながら温泉に入り、日頃の疲れを癒しましょう。
火山の国日本は、世界でも有数の温泉大国。
日本人と温泉のつきあいにも長い歴史があります。
今でも有名な温泉の中には、山奧の温泉で動物が傷を癒しているのを猟師が発見し、
人間が利用するのようになったという温泉も少なくありません。
そう、日本人は昔から、温泉の効能を知っていたのです。
山根屋にて、心ゆくまで湯治をお楽しみしていただければと思います。
女将 渡邉 啓子
露天風呂
山根屋がおすすめする湯治
山根屋旅館は、自然に囲まれた素朴な宿です。 源泉も二カ所あり、自噴・ポンプアップによる温泉です。 できることならば、1泊だけでなく、2~3泊していただき、心ゆくまで堪能していただければと思います。
温泉に行くということ
家のお風呂に温泉の薬効成分を溶かして入る「インスタント温泉のもと」。 確かに温泉のお湯にそっくりですが、本当の温泉にはそれだけではないプラスアルファの魅力があります。
露天風呂
自然
自然
「自然浴」の効果
女将 渡邉 啓子
温泉(湯治)に行くということは、「温泉に入る」ことだけでは、ありません。 むしろ、それぞれの土地の自然をまるごと味わう「自然浴」も大きなことです。
都会の雑踏を離れた、山ふもとの温泉宿。うっそうとした緑の木々、鳥の声、虫の音、湯けむりにかすむ景色。
目や耳や鼻ですでに「温泉」を味わっているのです。 体全体が自然環境の影響を受け、内側から変化を始めています。 そして、心と体が解放され始めていることに気づくでしょう。
「自然浴」について自然が体におよぼす影響は奥深く、多彩です。 病気治療や健康づくりに役立てようと、タラソテラピーや森林浴など積極的に活用されています。
タラソテラピー(海辺の自然浴)
海辺の気候や自然の効用をとり入れた治療法。気管支喘息やアトピー性皮膚炎に効果があります。
森林浴(森のアロマテラピー)
森の恵みを五感で味わいながら、心身をくつろがせるリラックス法。体に対して、血圧を下げたり、 気分を安定させる効果があります。
大浴場
温泉入浴の効果
温泉に入ることによってもたらされる効果は、温泉の大きな魅力の一つです。
温泉には、「入浴」そのものがもたらす効果と「自然治癒力」を高める効果があります。
「自然治癒力」を高める
女将 渡邉 啓子
各々の温泉のお湯によって成分は違いますが、どの温泉にも言えることがあります。それが、「自然治癒力」です。
薬のように特定の効き目があるというのではなく、正常な状態へ調子を整えていく、という作用です。 「胃酸の高すぎる人は低く、低すぎる人は高く」というように、場合によっては全く逆の効果をもたらすこともあります。
温泉は、特定の病気に対する薬というより、さまざまな薬効成分や定期的な入浴刺激による相乗効果によって、 ヒトの「自然治癒力」を高めるという効果も持っています。
浴場
ひめさゆり
「入浴」そのものがもつ効果
お湯のもつ「浮力」「水圧」「温熱」という3つの力が入浴の際体におよぼすさまざまなよい作用を生みます。
「浮力」
水の中では体が軽くなります。なんと、体重60kgの人の水中の体重は約6kgの軽さ! それが、「浮力」の力です。お風呂に入るとホッとするのは、体の重さから解放されるからです。 また、浮力で体が軽くなるお湯の中では地上に比べて体を動かすのがずっと楽になりますので、 肥満、頭痛、関節痛などの人は特に「浮力」の効果を実感するでしょう。
「水圧」
お湯の中では、お腹や胸が押され、いつもよりほっそり見えます。これが「水圧」の力です。 お湯の中では、水の圧力で体が押され、天然のマッサージとでもいうべき状態に。 登山やスキー、ゴルフなどのあと、近くの温泉に入ると疲れがとれるのは、 水圧の働きでマッサージを受けたときと同じ効果が得られるためなのです。
「温熱」
二日酔いの朝のシャワーは熱く、疲れた日の深夜のお風呂はぬるめでゆっくり、などといいます。
熱いお湯は体を目覚めさせ、ぬるいお湯は体と神経を休息させます。
このような効果を「温熱効果」といいます。
泉質と効能
医学的に治療効果のある温泉水を治療泉といいます。 治療泉の泉質は、その主成分によって大きく9つに分類できますが、山根屋の泉質は2種類です。
浴場
浴場
ひめさゆり
山根屋の泉質は【単純泉】と【炭酸水素塩泉】。入り心地が良く利用範囲も広いです。
病後回復期の静養、手術後の療養、骨折・外傷後の療養に効果があります。高齢者にも安心です。
単純温泉
無色透明無臭で含有成分は多いが突出した成分がなく、入り心地がよく利用範囲は広い。高齢者向き。
病後回復期の静養、手術後の療養、骨折・外傷後の療養によい。 わが国では古来「中風の湯」「神経痛の湯」など名湯が多い。
炭酸水素塩泉
高齢者向きでよくあたたまる。筋・関節痛、打撲、捻挫、冷え性、病後回復、慢性消化器病によい。
高血圧症、腎臓病、心臓病、の方は控えてください。
正しい温泉の入り方
女将 渡邉 啓子
【1】かけ湯は念入りに
たくさんの人が利用する温泉では、湯舟につかる前にまずお湯をかぶって体の汚れを落とすのがマナー
そして、かけ湯は健康の面からも欠かすことのできないプロセスです。
かけ湯をせずに、冷たい体をいきなり熱いお湯の中に入れると、そのショックで血圧が急上昇してとても危険。 かけ湯はつま先から脚、そして腹部へ、指先から腕、そして胸へという具合に、体の末端から上のほうへ順にお湯をかけていき、 徐々に体をお湯の温度に慣らしていくのがコツ。 ちゃんとかけ湯をしたあとならば、のぼせる心配もありません。
そして、大切なのは、最後に頭にも十分お湯をかけることです。頭に10~20杯のお湯をかぶっておくと、 入浴時の温熱刺激への準備運動となり、上がるときの立ちくらみも防ぐことができます。
【2】負担の少ない半身浴から
かけ湯を終えたら静かに湯船に入ります。
熱い湯に一気に体を沈めるよりは、まず体の半分、 だいたい横隔膜(ヘソから握り拳1つ分上あたり)の高さまでのお湯に入ると、体に無理がかかりません。 これが半身浴と呼ばれる入り方。
湯舟の中では全身にかなりの水圧がかかります。水圧によって心肺に過大な負担がかかってしまいます。 半身浴は浅い分だけ水圧が低いので、当然心肺への負担が少なくなりますから、 体が弱っている人には全身浴よりも半身浴をおすすめします。
【3】小刻みな入浴を1日3回まで
額に汗が吹き出たり、動悸が激しくなるなどの長湯は禁物です。 ぬるい湯での半身浴や寝湯であれば長くつかっていても構わないのですが、熱い湯での長湯はかえって体に毒です。
特に高齢者、高血圧、動脈硬化症、心臓病、脳血管障害の方は、 血圧と心拍数が急上昇して血液も固まりやすくなるので非常に危険です。
また、せっかく温泉に来たからといって、度を越した回数の入浴は考えものです。
1日に3回までを目安にしましょう。
【4】上がったあとは、シャワーを浴びずに休息を
肌についた温泉の薬効成分は、3時間程度は効果が持続しています。
肌の弱い方や強酸性泉のような刺激の強い温泉以外では、シャワーで洗い流さないほうが効果的です。 上がったあとは、湯冷めをしないよう体と髪をしっかり乾かします。 冷房や扇風機は体を冷やしすぎるので、できれば自然の風で涼みましょう。
気分は爽快でも、体は思っている以上に疲れています。 少なくとも30分は横になってゆっくり休みたいものです。 水分も十分に補給してください。